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2002年4月10日 (水)

ホームページ公開の日に

 4月8日の深夜、こんな短説を書きました。同日夜、短説ML(メーリングリスト)座会にアップされた、水南森さんの「西を向く山」に刺戟されたからです。それで西山も、さっそくそれに応えるべくMLにアップしようとしたのですが、メールソフトの送信設定を若干変えたためか、送信できませんでした。ですので、とりあえずこちらにアップしておきます。はっきり言って、現場報告にすぎない駄作ですが。

 

   瓶詰のメッセージ

 

             西山 正義

 

 三十代最後の誕生日を迎えた。今更なんと
うい感慨もない。年齢に対する感覚が鈍感に
なってきたということは、とりもなおさずそ
れだけ年をとったということだ。それでもな
にがしか記念の行事をやろうというのは最後
の抵抗か。
 誕生日と十四回目の結婚記念日(というよ
り、つきあい始めて丸二十年)に、夫婦の別
荘を開くことにした。しかも、それを一般に
公開しようというのだ。なんたる悪趣味なこ
とかとも思う。しかし別荘といっても、軽井
沢やハワイに建てたわけではないので、電車
や飛行機に乗って行く必要はない。インター
ネットに接続できる環境さえあれば、誰もが
どこからでもほとんど瞬時にアクセスできる。
 ネット・サーフィンしていると、なるほど
いろんなホームページがある。まったく呆れ
返るほどだ。あるサーチエンジンに登録した
ら、きょう一日だけで、新規に登録されたサ
イトが五百件以上あった。
 同人雑誌を出して各方面へ郵送するのは、
「空瓶に手紙を入れて封をし、海に流すのに
似ている」(『私の文学漂流』)と言ったの
は吉村昭氏であるが、よしんば誰か拾って読
んだとしても、それが何だということもある。
それでも、そういうことをやらずにはいられ
ないのが人間かもしれない。インターネット
にも功罪はあるだろうが、そうした手立てを
より多くの人に、手軽に、しかもあまり他人
に迷惑をかけずに開放したのである。電気的
な資源は使うわけだが、ゴミを増やす恐れも
比較的少ない。
 ただ、文学に関して言えば、ホームページ
作りばかりに熱中していると、本末転倒にな
りかねないということがある。瓶だけ工夫し
て流しても、意味がないからね。

 

(初出:ホームページ「短説と小説『西向の山』」)

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