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2006年4月

2006年4月25日 (火)

小川和佑『名作が描く昭和の食と時代』

 文芸評論家・小川和佑先生の新刊が出ました。
-『名作が描く昭和の食と時代』-
 最近「食育」というようなことが話題になっていますが、昭和の文学作品に見る「食」をテーマにした画期的な評論です。関西の竹林館から五日前に発売されたばかり。

 具体的に取り上げられている作品は以下の通り。

  永井龍男「黒いご飯」
  川端康成「伊豆の踊り子」
  宮沢賢治「雨ニモマケズ」
  高見順「如何なる星の下に」
  堀辰雄「天使達が」
  小島政二郎「悪妻二態」
  ブルーノ・タウト「ニッポン」
  横光利一「旅愁」
  伊藤桂一「戦場と糧食」
  大岡昇平「野火」
  武田泰淳「ひかりごけ」
  太宰治「斜陽」
  開高健「青い月曜日」
  中里恒子「時雨の記」
  中村真一郎「恋の泉」
  立原正秋「春の鐘」
  村上春樹「ノルウェイの森」
  吉本ばなな「白河夜船」
  海老沢泰久「美味礼讃」
  水上勉「土を喰う日々」
  大沢在昌「闇先案内人」

 これはもともと昨年一年間、明治大学リバティ・アカデミーの教養・文化講座で講義されたノートを基にしたものですが、稿としてはまったく新たな発想で書き下ろされた文芸評論で、ほかにあまり類を見ないものでしょう。
 この夏には、本書をテキストにした夏季集中講座の開催も決定しました。講座では、昭和にこだわらず、明治文学から説き起こされ、詩や俳句、時代小説まで論及される予定です。
 本についての詳細は「西向の山」の「小川和佑先生最新情報・新刊案内」を、公開講座については「講座案内」をご参照ください。

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2006年4月18日 (火)

短説:作品「飛行機」(芦原修二)

   飛行機
 
            
芦原 修二
 
「ああ。あれは成田空港へ行くんだね。
「あの鉄塔のあたりから、いつもゆっくり高
度を下げる……。
「いま? いまはコキリコ節に夢中だ。
「連休に皆一斉に田植えをやって、いまは一
面に水が張ってあるな。あと七日もすればあ
の苗の緑も濃くなるだろう。そしてほら、白
鷺の羽がいっそう白くなったと思わないか。
「え、教科書にも載っているって? そう、
コキリコ節を小、中学生がうたうんだね。
「ハレのさんさはデデレコデンとか、長いは
ア袖のカナカイじゃなんて、意味がわからな
くなっていたりしてね。それでいてなんとな
く面白いからみんながうたうんだろうな。
「長いはア袖のカナカイじゃ、もそうだけど、
向かいのオ山に鳴くひよどりは、鳴いてはア
さがり、鳴いてはあがり、なんて妙な語尾の
伸ばし方で。あれを生み字って言うんだ。そ
こがよくて自分もうたうのかな。
「えっ? 夕焼け。ああ。ほんとだね。田ん
ぼの水が赤く染まってきた。
「あれ? あれですか。魚が泳いでいるのか
も。昔は田植えの終わった田んぼによく魚が
あがってきた……。
「流れていると、鮒や鯉は卵をうみつけるた
め本能的に水をさかのぼるんだ。
「やっぱ、これは風が走っているだけかも知
れんな。魚がみえないもの。
「ね、ちょっと、まばたきしてみないか。
「ほら。飛行機は成田空港におりようとした
まンま。田んぼの水面を風が波だて、それを
夕日が赤く染める……。どう? この時間が
永遠につづくような気持ちにならない。
「そう。川端康成はこんな日に自殺した。こ
んな日だったよ。……あの夕方、私はテレビ
のニュースで知ったんだ。

〔発表:平成17年(2005)5月東京・ML座会/初出:「短説」2005年8月号/WEB版初公開〕

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2006年4月10日 (月)

短説:作品「微笑みの町」(向山葉子)

   微笑みの町
 
            
向山 葉子
 
『ようこそ、さち子さん』と大書きされた垂
れ幕の下に、家族全員がにこにこしながら坐
っていた。そして、さち子の顔を見るなり、
「ようこそ」「ようこそ」と口々に歓迎の言
葉を投げかけるのだった。さち子は照れてし
まって、横にいる夫の顔を見上げた。夫もま
た微笑みを湛えて「ようこそ」と手を差し出
す。ここは微笑みの町だ、とさち子は思う。
角の煙草屋のおばさんも、お巡りさんも、み
んな柔らかく微笑んでさち子を迎え入れてく
れたのだから。もうあくせく働くこともない
のだ。「ふつつか者ですがよろしくお願いし
ます」さち子は幸せな気持ちで頭を下げた。
 午後からは夫に連れられて散歩に出掛けた。
畑のキャベツ、鎮守の森、緑色が大半を占め、
空気も清々しかった。「東京とは思えないわ」
深呼吸をしながら言うさち子に夫は誇らしげ
に答える。「だろう? ここは保護区だから
ね。道路工事も多いだろ。子供やお年寄りの
ためにも道路だって疎かにしない町なんだ。
そうだ、君のことみんなに紹介しなくちゃね」
と夫は町行く人に一々さち子を紹介し始めた。
道路工事夫に至るまで、さち子は頭を幾度下
げたことか。が、みんなみんな微笑み返して
くれるので、疲れなど感じなかった。「これ
でよし、と。君はもうこの町の人だよ」
 一か月ほどたつとさち子はすっかり町にも
家族にも溶け込んだ。結婚前のあらゆる不安
も消え去って、妻としての自覚も生まれてき
たようだった。そろそろ友達にも惚気を言い
たい気分にもなって、出掛けることに決めた。
「大丈夫かしら」と心配気な義母を後に足取
りもかるく家を出た。駅への道は工事中だっ
た。「ここは一方通行だから」と通してもら
えない。迂回した先もまた工事中。さち子は
町をくるくる巡り遂に駅へ辿り着けなかった。

〔発表:昭和63年(1988)5月第33回東京座会/初出:「短説」1988年6月号/再録:1989年10月・年鑑短説集〈3〉『乗合船』/WEBサイト「西向の山」upload2002.4.5〕
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2006年4月 6日 (木)

山桜

多摩川べりのソメイヨシノ一色の並木に一本だけ咲くヤマザクラ
だからといって「不吉な桜」というわけではありません。Ts2a0169

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2006年4月 1日 (土)

小学生が書いた短説(短い物語)

   不吉な桜
 
       
西山 義人(小学六年生)
 
 桜の花びらがまた一枚舞い降りた。
 ふと、うしろを見るとカップルがわかれた。
 そう、この桜の花びらがおちると、カップ
ルがわかれる。
 不吉な桜である。
 だが、この花びらを三枚とると願いがかな
う、という伝説がある。
 それを使って、あいつと話すきかいを増や
そうとした。
 
 次の日、学校に行った。
 廊下を走った。
 そして六年プレイルームを通りかかった時、
偶然目にしたのは、あいつだった。
 耳をすますと、引越しの話だった。
 あいつは三日後引越すらしい。
 足どりが重くなった。
 
 三日後、あいつを乗せた車と引越しのトラ
ックが走り去った。
 その時、不吉な桜の花びらが目の前を通っ
た。
 それは、この初恋の終わりを、示している
のだろう。

〔執筆:平成18年(2006)4月1日・東北新幹線上りMAXやまびこ号車中にて(帰宅後補筆完成)/短説一歩手前〕
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仙台駅

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伊達政宗公騎馬像

 画像が大き過ぎるので、東京に戻ってきて再編集。つい先日「ココログ」がバージョンアップされ、携帯からだと原版がそのままアップされるようになったようです。以前はサイズが大きいと、ワイド350ないし450に自動で縮小されていたのですが。
 左は、三月十日、五時半に夜行バスで着いて撮ったもの。まだ外は真っ暗。人もいない。
 右は、本日新幹線で十時半頃着いて撮ったもの。恰好の待ち合わせ場所になっていて(渋谷のハチ公状態)、人がいっぱいいたのでアップでしか撮れなかった。
(JR仙台駅中央口)
 
Ts2a0138_1  Ts2a0162

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仙台着

仙台着

MAXやまびこ

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仙台へ日帰り

 今日から四月なので正確には月をまたいでいますが、今月二度目の仙台行き。三週間前にもとんぼ返りで行ってきました。前回は、行きは夜行バス、帰りは常磐線を、仙台-いわき-水戸-日暮里とすべて鈍行を乗り継いで、十時間かけて帰ってきました。交通費をけちったわけですが、さすがにしんどかったです。
 今回は時間の余裕がないので新幹線。東京8:08発、MAXやまびこ/つばさ105号。昨夜ネットで指定席を買いました。煙草の吸える一階席。再来週にもまた仙台へ行かなくてなりません。今度は荷物運びがあるのでクルマ。
 早い、もう宇都宮を過ぎました。昨日、宇都宮にお住まいの小川和佑先生にお電話しました。この三週間で、ここ数年来の僕にとっては画期的な生活上の変動がありました。転職というほどではありませんが、一部職場が変わりました。再び週四日は会社勤めに。その職場が先生とも大いに関わるところなので、ご報告。喜んでいただけました。
 だんだん景色が白っぽくなってきました。モバイルからではなかな繋がらないので、いったん携帯に転送し、携帯メールから再度アップ。
 そうこうしているうちに、はや郡山着。東北新幹線より。

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