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2006年7月

2006年7月25日 (火)

「利根地固め唄」の公演

〈短説の会〉ならびに利根川流域の皆様
われらが芦原修二代表の最新情報です。
今度の日曜日、「利根地固め唄」の公演が行なわれます。
 
『第8回全国こども民俗芸能大会』
日時:7月30日(日)
会場:日本青年館大ホール
(神宮外苑・最寄り駅JR総武線「千駄ヶ谷」)
開場:12:30
開演:13:00
入場無料
 
日本全国から各ブロックを代表して民俗芸能を披露。
インドネシアからも参加。
「地固め唄」はオープニングを飾るそうです。
 
申込・問い合わせ先
(社)全日本郷土芸能協会 「こどものまつり」係
〒107-0052 東京都港区赤坂6-10-45 ヴィラ赤坂208
TEL:03-5545-3413
 
 ちょうど三年前、利根町公民館で行なわれた『利根地固め唄保存会結成15周年記念発表会』にはたいへん感銘を受けました。一緒に行った息子も、HPの日記に「来てよかったな」と書いています。
 今回は全国規模での発表会です。私もこの日は地元で「団地祭り」があり、残念ながらが観に行けないのですが、お時間がある方は是非。芦原さんの作品背景もわかってお薦めです。

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短説:作品「ばあさんの庭」(五十嵐まり子)

   ばあさんの庭
 
          
五十嵐 まり子
 
 すり鉢型のアリジゴクの巣に小さな蟻が一
匹落ちた。差し渡しが四センチはある大きな
穴だ。蟻が這い出ようと少し登りかけると、
細かいさらさらの砂は崩れ、また底に戻って
しまう。突然すり鉢の底から砂が放り上げら
れた。小さな蟻は砂と一緒に穴の外へ放り出
された。ぱあさんは指でつまんで蟻を穴の底
へ落とす。同じことを三回繰り返して四回目、
小さな角のようなものが二つ底に見えたかと
思うと、蟻は底の砂の中に姿を消した。
「間抜けなアリジゴク」
 ばあさんは独り言を言った。
 
 剥げて落ちそうになっている杉の皮が、そ
の先にセミをぶら下げてゆらゆら揺れている。
蝉は時々もがいているように見える。足が引
っかかって飛べないのだろうか。
 近くに寄ってよく見てみると、杉の皮と思
ったのは茶色の蟷螂だった。カマのところで
しっかりと蝉の頭を引っ掛けている。朝の掃
除の時に、蝉の羽だけが落ちているのを何回
か見たが、きっと蟷螂が食べたに違いない。
「わるいね、放してやるよ」
 ばあさんは蝉を放してやった。
 
 七十センチほどのグレープフルーツの木に
アゲハの幼虫が五匹いた。大きいのは三セン
チぐらいになっていた。翌日、一番小さいの
を除いて全部姿を消した。木の中程にお腹を
膨らました青い蟷螂が、木の一部のようにし
てじっと動かずにいる。
「みんな生きるためだもの。仕方がないね」
 ばあさんは足元の猫に言った。
 
 ばあさんは一人で食事を摂る。猫は隣の椅
子に乗って、何かもらえるかと待っている。

〔発表:平成16年(2004)9月上尾座会/初出:2004年12月号「短説」/WEB版初公開〕
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2006年7月24日 (月)

花火か星雲か水母か

 昨夜は、小雨がぱらつく中、多摩川で調布市花火大会が行なわれました。打ち上げ場所から約五キロ離れた団地の広場で、地元の仲間と宴会をしながら観覧。雨に煙る花火。幻想的な写真が撮れました。
 
Ts2a0268  Ts2a0269
 
Ts2a0270  Ts2a0272

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2006年7月22日 (土)

坂の名前・神田駿河台の石標(その二)

 第二弾は一番のメインストリートと、その御茶ノ水-神保町間のほぼ真ん中から西へ直角に登る最も駿河台らしい坂。どちらも明治大学に因んだ名がついている。「吉郎坂」の「吉郎」とは、元明治大学総長で商学博士・佐々木吉郎先生のこと。昔は「胸突坂」と言った。現在でも結構な急坂で、登り切った頂上に「山の上ホテル」がある。
 
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 左の石標は、雨で光量が足りず碑面が暗くなってしまいました。クリックで拡大すれば文字もはっきり見えますが、左の女性二人のほうに目が行っちゃうかも?! (別に狙ったわけではありません)

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2006年7月21日 (金)

坂の名前・神田駿河台の石標(その一)

 僕が学生時代に通い、そして今また通勤している神田駿河台という所は、その名の通り台地で、坂が多い所である。坂が多いというより、坂だらけと言ったほうがいいでしょう。いや、街全体が坂と言ったほうがいいかもしれない。
 そしてその坂ごとに、坂の名前を刻んだ小さな石標が設置されています。どういういきさつがあるのかは知りませんが、昭和五十年一月に、「駿河台西町会」の人たちによって設置されたようです。気にして歩いていなければ見落とされてしまうような、ほんの小さな石ころで、表に坂の名が、裏に「昭和五十年一月 駿河台西町会 ○○○○」と刻まれているだけのものです。
 全部でいくつあるのか。長年この界隈を徘徊していながら、よくわかっていません。先日はじめて気づいたのですが、坂の名前を刻んだ文字は、坂ごとに別の書家が揮毫しているようです。「短説」とは関係ありませんが、時折思い立ったら探索して、「このブログにアップしようと思います。
 まずは二つ。坂の全体像や場所、由来などは省略します。石標だけでどの坂か分かる方は神田通ですね。
 
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2006年7月14日 (金)

短説:作品「カルガモ」(船戸山光)

   カルガモ
 
            
船戸山 光
 
 朝の電車の混雑が嫌で、山田は一番電車で
通勤している。
 今日も天気は全国的に晴れで爽やかな一日
だとの天気予報である。
 地下鉄を降りて、階段をゆっくりと上ると
眩しいような天気だ。
 一般の通行を開放しているM物産の御影石
を敷きつめた構内に入ると、珍しく大勢の人
が池の回りに集まっている。
「ああ、そういえば昨日のニュースで、今年
はカルガモの親がそばにいなくてどうしたの
か、と言っていたな」
 独り言を言いながら池の側に近づいて見る
と、数人のカメラマンがおもいおもいにシャ
ッターを切っているところであった。
 百坪程の池の中に、薄茶色の産毛に白い斑
点のあるカルガモが、五、六匹、水深十セン
チ程の水面を泳いでいた。
 何時ものコースを歩いていた山田の目の前
に、群れからはぐれた一匹のカルガモが、よ
ちよちと近づいてきた。体全体をゆすって歩
く姿が、ふと、孫の幸太を思い出させた。
 一匹捕まえて持って行ったら喜ぶだろうな、
そんな事を思いながらポケットに手を入れる
と硬いものが手に触れた。取り出して見ると
プラスチックのピストルだ。昨日、遊んでい
るうちに幸太がいれたのだろう。
 可愛いいカルガモの仕種に誘われて、山田
はピストルを取り出して、カルガモに向けて
引き金を引いた。「バアーン」と大きな音が
してカルガモは横になって動かなくなった。
 カメラマンが、一斉に山田をみた。ガード
マンが、走って来るのが見えた。
 山田は目の前が真っ暗になった。大勢の週
刊誌の記者に囲まれている自分とテレビに大
写しになっている自分が重なった。

〔発表:平成12年(2000)6月藤代木曜座会/初出:「短説」2000年9月号/再録:「短説」2001年9月号/〈短説の会〉公式サイトupload:2006.7.12〕
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2006年7月 5日 (水)

短説:作品「豚」(西山正義)

   
 
            
西山 正義
 
 私の目の先に雑木林があった。その林の手
前から三番目の木に、楕円形の白っぽい物が
ぶら下がっていた。近寄ってみると、それは
豚だった。
 東京のベッドタウン。南に団地、北に一戸
建ての住宅が広がっていた。そのあいだの直
線道路をはさんで、草野球のグラウンド二つ
分ぐらいの公園があった。
 私は営業で来ていた。初めての町である。
テーブル付きのベンチがあった。私はアタッ
シュケースを投げ出し、腰を下ろした。掌に
把手の跡がついていた。
 私は一服し、日が没する方に目を向けた。
そして立ち上がったのだった。
 豚が首吊りしている。
 私は面食らったが、たしかに豚である。し
かも、肉屋にぶら下がっているようなそれと
は、明らかに様子が違う。第一に、それは生
きていた。白くてきれいな豚である。
 どうもオスのようだ。まだ若そうだった。
目が合った。笑っているように見える。
「おい、君はこんな所で何をしてるんだい」
 私は揺すってみた。するとニヤッと歯茎を
出して、「お兄さんもやってみるかい」と言
った。言葉が通じるらしい。
 サッカーボールが飛んできた。若い母親が
駆けてきた。女の匂いが漂う。「ちょっとイ
ケテルんじゃない」と豚が片目をつむった。
「そんなことより、苦しくないかい」
「苦しくないよ」
 豚の首はどこなんだろうと思っていると、
「ここだよ」と教えてくれた。しかし前足は
短すぎて、どこを指したのかよく分からない。
 向こうの小径から犬を連れた婦人が来た。
私を胡散臭げに見やって、足早に通り過ぎて
行く。犬が吠えた。

〔発表:平成18年(2006)1月第123回通信座会 /第二稿:2006年2月ML座会/初出:2006年3月号「短説」(芦原修二「短説逍遥」60)/再録:2006年4月号「短説」/再録:「西向の山」upload:2006.7.5〕
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