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2013年4月20日 (土)

小川和佑先生の新刊『戦後文学の回想』

「小川ゼミ通信」Vol.30
小川和佑ゼミナールOB会の皆様

 先生の新刊が出ました! 待望の『戦後文学の回想』です!
 
 4/12に先生から先日のお花見の写真と一緒にご連絡をいただきました。写真の整理も新しい名簿の作成にもまだ着手できていませんが、すでに四日も経ってしまいましたので、ほかのことはさておき、取り急ぎ皆様にお知らせいたします。

◆小川和佑著『戦後文学の回想 小説家・詩人・評論家交遊録』
発行日:2013年4月10日
発行所:竹林館 http://www.chikurinkan.co.jp/book/index.php
ISBN: 978-4-86000-249-7 C0095
定価:1,575円(税込)
http://www.chikurinkan.co.jp/book/index.php?main_page=product_book_info&cPath=4&products_id=296

【登場する文学者】杉山平一・中村真一郎・木下順二・舟橋聖一・中村光夫・大岡昇平・三島由紀夫・鮎川信夫・田村隆一・黒田三郎・木原孝一・高見順・井上靖・吉行淳之介・吉行理恵・久坂葉子・三井葉子・堀内幸枝・平野謙・江藤淳・ほか

 今まで折に触れて(場合によっては何度も)聞いたことのあるお話も、やはり先生ご自身の文章でこのようにまとめて読めるのは貴重なことです。
 先生ご自身は、「この種の私的回想は語り棄てるべきものと決めていた」というように、ならば私が聞き書きを書こうとも思いましたが、到底無理。
「このテーマはどうしても自分史に即して書かざるを得ない。高齢者の思い出は自慢噺になりがちである」、だから、「可能な限り筆を抑えて客観的に書くことを自己に課した」というのだが、私たちにしてみれば、知りたいこと聞きたいことが山ほどあって、抑えなくてもいいのにと思えてきます。

 それでも、和佑先生の若き日の肖像を窺い知ることができ、いや、だから、先生は気恥ずかしいのでしょうね。
 特に先生の学生時代の話は、私たちの頃とは時代も状況も異なるとはいえ、「学生」という同じ立場にたてば、精神の上では同じなのだなと妙な感慨を覚えました。

「可能な限り筆を抑えて」書かれているから、一般読者には分かりにくい箇所や補足が必要なところもあるかもしれません。しかし、章と章のあいだに「戦後こぼれ話」と題された時事的なコラムがいくつか挿入されているあたりは、さすがは先生の編集方法だなと感じ入りました。

 自己を多くは語らぬ先生ですが、実は、教養文庫の『青春の記録』三部作や『中村真一郎とその時代』、『三島由紀夫-反「日本浪曼派」論』などでは結構語っていたりもします。しかしそれらは今ではなかなか手にできませんので、是非この本を手に取ってほしいです。先生にぐっと親近すること請け合いです。

 さて、4月6日のお花見は、直前になってすったもんだしたり、当日も春の嵐に見舞われたりと、いろいろありましたが、結果的には、当初予定の紀尾井町通りの八重桜がちょうど見頃になっていて、成功裏に散会することができました。
 14年前の花見の時は新卒だったI君とKさんが立派な社会人(Kさんは大学の先生!)になっていたり、卒業以来実に久しぶりに参加したW君にも会え、OBの子供も三名参加し、忙しい時期のほんのひと時でしたが、たいへん充実したものになりました。

 その模様の一端が、Yさんのブログ「コロンブドール」(http://blog.goo.ne.jp/colombedor)にアップされています。Yさんのブログには「桜」関係だけでも、かなりの写真がアップされていますので、是非ご覧いただければと思います。
該当ページ:http://blog.goo.ne.jp/colombedor/e/93cbc365b2ed9ca01e437fd9b4389b3b

 それでは、是非とも先生の『戦後文学の回想』を手に取ってみて下さい。

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(4月11日)
*読了14冊目(24.12.1~):『ポケット詩集』(田中和雄編・1998年11月初版/2008年12月第36刷・童話屋)
収録作:宮沢賢治「雨ニモマケズ」~茨木のろ子「自分の感受性ぐらい」(全33編)

(4月20日)
*読了15冊目(24.12.1~):『戦後文学の回想 小説家・詩人・評論家交遊録』(小川和佑・平成25年4月10日初版・竹林館)

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コメント

   〝最後〟の花見会
     (――空白を埋めるための後付け短説)
             西山 正義
 
 文芸評論家で近代文学研究者の小川和佑先生を囲んでのお花見会は、平成二十五年四月六日に行われた。先生は「桜の文学」のいわば伝道者としても知られていた。
 この年は開花が早く、ソメイヨシノはすでに散っていた。そんなわけで場所を変えるべきかと直前になってすったもんだしたり、当日も夕方から春の嵐に見舞われたりと、いろいろあったが、結果的には、当初予定の紀尾井町通りの八重桜がちょうど見頃になっていて、成功裡に散会することができた。
 十四年前の花見の時は新卒だったI君とK嬢が立派な社会人(K嬢にいたっては大学の先生!)になっていたり、卒業以来初めて実に久しぶりに参加したW君にも会え、OBの子供も三名参加し、ほんのひと時であったがたいへん充実した花見会になった。
 ――しかし、これが先生と一緒に桜を見た最後になったのだった。
 その日は、息子の大学入学式でもあった。妻は日本武道館での式典を終えてランチから合流し、息子は大学での事務手続きを経て二次会から参加したのだった。息子は先生には会えなかったが、入学したのは日本文学文化学科なのである。
 私と一緒に待ち合わせの準備から参加していた娘は、大学四年になっていた。ヨーロッパ比較文化学科でジャン・コクトーを卒論に選んでいたので、仏文学専攻の卒業生(といっても親と同じ年代)とまるで友達のように議論していた。
 そしてその二日後、私もとうとう五十歳になった。小川和佑先生に出会ったのは昭和五十八年四月、二十歳になったばかりだった。あれから三十年。自分の子供が同じ年代になり、当時の先生の年齢に近づいたのである。
     ――令和3年(2021)5月2日(日)~22:33

投稿: 西山正義 | 2021年5月 2日 (日) 22:50

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 本日平成25年4月29日は、昭和天皇生誕記念日「昭和の日」ですが、わが師、国文学者・文芸評論家で明治大学文学部ほかの元講師である、小川和佑先生のお誕生日であります。  小川和佑先生は昭和5(1930)年...... [続きを読む]

受信: 2013年4月29日 (月) 16:31

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