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2014年9月 8日 (月)

短説「平成二十四年の逝く夏に」西山正義

   平成二十四年の逝く夏に

            
西山 正義

 五月十九日に短説「〝最後〟の運動会」を
書いてから、ちょうど三ヶ月後の八月十九日
までは、息子の高校野球一色だった。
 妻と二人、本人以上に騒いでしまった。息
子の学校(私の母校でもある)が甲子園に行
ったわけではない。が、神宮には行った!
 そのことについてちゃんと書いておきたい
と思っていた。でもそれは、私なら、やはり
短説にすべきだろう。娘のフランス留学のそ
の後についてもしかり。
 しかし、時の経つのが早い。早すぎる。い
まだ猛暑が続いているが、真夏とは異なる秋
の匂いがしてきている。その匂いを嗅ぐだけ
で、鼻にツーンときてしまう。
 夏の終わり、短説同人のあるサイトが消滅
してしまった。知人のブログやホームページ
が更新されているのは楽しみであり、励みで
もあり、一種の安否確認ではないが、同じ時
間を共有して生きているという、その形に残
る証明であると感じている。事情は不明だが、
残念である。もはや短説を書いていなく、ペ
ージを更新することもなくても、個人作品集
のアーカイブとして残しておいてほしかった。
 しかし、それにも〝熱情〟というものが必
要で、かつて短説の会を取り巻いていた熱情
を、今懐かしんで、もう一度と思っても、も
はや気持ちが〝行かない〟のは、かく言う私
にしてもそうなのだ。
 でも、私には、声がまだ聞こえる。かすか
ではあるが、何かを囁く声が。それは古い友
人からのコールだったり、やっぱり文学って
いいなという思いだったりするのだが。
 ブログでも、日記でも、雑記でもいい。や
はり書いておこう。それしかない。
 あっと言う間に流れ去る時に、少しでも楔
を打たねばいけない。

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