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2021年5月 8日 (土)

短説「結婚三十年に」西山正義

   結婚三十年に
   (――空白を埋めるための後付け短説)
            
西山 正義

 平成三十年四月十日、西山正義と向山葉子
が結婚式を挙げて満三十年になった。媒酌人
は明治大学の恩師で文芸評論家の小川和佑先
生・節子さんご夫妻。私は大学を卒業したば
かり。桜満開の神田明神でのこと。
 入籍したのは二日前の四月八日で、満開の
桜に時ならぬ春の雪が降った日であった。私
の二十五歳の誕生日。「昭和」最後の春にな
った。それから三十年ということは、つまり
私も五十五歳になったわけだ。
 結婚記念日を祝う風習は英国発祥とのこと
だが、当初は五年、十五、二十五、五十、六
十年目の五回のみを祝っていたらしい。わが
国でも明治二十七年に明治天皇・皇后両陛下
が「大婚二十五年祝典」を執り行ったことか
ら、いわゆる「銀婚式」が大きな節目として
一般にも著名になったようだ。
 五年前、その銀婚式に、私の仕事が不安定
で遺憾ながら何もできないでいた。その上で
の三十年であるし、何も結婚記念日に旅行し
なければいけないわけではないが、五十もな
かばになり、子供二人も独立したので本来な
らもっと余裕があるはずで、ここは豪勢に奢
ってもいいところなのだが、如何せん私が不
甲斐なく、国内のそれも比較的近い所にしか
行けなかった。ただ正直言って、私が行きた
いと思うのはやはり信濃追分と軽井沢だけだ。
いやほかにも、熊野や出雲や高千穂には行き
たいと思うが、遠過ぎる。いや遠過ぎるとい
うより、第一の目的は、自身のホームページ
の「軽井沢文学散歩」の〈信濃追分編〉を作
りたいがためであった。
 それで、三十年目の結婚記念日を挟んで、
信濃追分~軽井沢をゆっくり散策し、念願の
万平ホテルに泊まり、さらに上田の別所温泉
と善光寺の宿坊に泊まってきたのである。


文学散歩:平成30年(2018)4月15日(日)「西向の山」
短説化:令和3年(2021)5月8日(土)12:00~13:00

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