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2021年5月 3日 (月)

短説「本を売る Ⅱ」西山正義

   本を売る Ⅱ
   
(――空白を埋めるための後付け短説)
            
西山 正義

 娘が「文学フリマ」に行ってきた。親とは
関係なく。平成二十六年五月五日、朝から出
かけていた娘が、帰宅して初めて知ったのだ
った。ただし出店したのではなく、詩を書い
ているという大学時代の友人と見物しに。
 もう十八回目になるというこの「文学フリ
マ」が、かつて水南森さんと私と妻でやって
いた『日&月』が出店した「全国文芸同人誌
展示即売会・復活祭」や「オールジャンル文
章同人誌即売会・ぶんぶん!」と関係あるの
かないのかは不明だが、同じ系統のイベント
で、年々規模が大きくなっているようだ。
 会場は、この五回ほどは東京流通センター
であるが、その前の五回は蒲田の大田区産業
プラザPiOだったらしく、こちらは二〇〇〇
年三月の「ぶんぶん!第一回」で出店したこ
とのある会場だ。
 その会場には、当時五歳の息子は連れて行
ったが、娘は行っていない。実はちょっとし
たトラブルがあって、不快な思い出が残って
いるのだ。それ以前、一九九六年から七年に
かけて参加した「復活祭」は別の会場であっ
たが、娘は覚えているという。当時娘はまだ
幼稚園生だった。親が出した雑誌を売り、う
さぎの表紙が気に入った絵本作家の冊子を買
ったりしたのだった。そのことを友人に話し
たら、「ありえねぇー」と言われたらしい。
 いわゆる「コミケ」ほどではないにしろ、
文章メインの同人誌の即売会も今ではけっこ
う盛況のようだ。
 実はこの時は下見だったようで、それから
半年後の第十九回文学フリマに、その友人と
ユニットを組んだ詩集と個人小冊子を発行し
て出店したのだった。親子二代して。娘の友
人は「ありえねぇー」と言うだろうが、わが
家では「ありえるー」になるのであった。
ブログ:平成26年(2014)5月5日(月)~23:59 短説化:令和3年(2021)5月3日(月)17:00~19:15

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