善光寺の文学碑〔1〕
◆良寛詩碑
仁王門の西側の脇にあります。古いものではありません。黒御影石の碑面にはこう刻まれています。
再游善光寺
曾従先師游此地
回首悠悠二十年
門前流水屋後嶺
風光猶似昔日妍
良寛
【案内板】
この漢詩は良寛さまが四十二歳
のころ帰郷の途時二回目の善光寺
参詣の折におつくりになられたものです
再び善光寺に遊ぶ
曾って先師に従って此の地に游ぶ
首を回らせば悠々二十年
門前の流水屋後の嶺
風光猶似たり昔日の妍
平成三年三月建之
長野良寛会
大本山善光寺大本願
◆稲畑汀子句碑
良寛詩碑の奥に稲畑汀子の句碑があるそうですが、見過ごしてしまいました。高濱虚子の孫、高濱年尾の次女で、『ホトトギス』の主宰を継承した稲畑汀子さんは、私たちがここを訪れた平成30年時点ではご健在で、このページを作成している半年前の令和4年(2022)2月27日に91歳でお亡くなりになっています。お生まれは昭和6年1月8日とのことですから、わが恩師文芸評論家の小川和佑先生と同学年ですね。
よべ星と語りし秋を惜しみ発つ
(昭和五十五年秋於善光寺)
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◆善光寺の句碑群
本堂と山門の間くらいの東側エリアの庭園のようになっている一画に、善光寺ゆかりの文学者の句碑が建ち並んでいます。
山頭火句碑の建立は平成8年(1996)のようですが、漱石句碑は平成23年(2011)、井月句碑は平成24年(2012)に建てられた新しい文学碑で、おそらくその際に並べて整備されたのでしょう。このようにきれいに整然と並んでいると、一見いいようなものですが、石碑としての趣や風情はありませんね。
案内板も統一的に整備されていて、確かにこれなら誰でも分かるのですが、肝心の石碑は見ずに、案内板だけをちらっと見てふーんと通り過ぎられてしまいそうです。いやまあ、この種の案内板に目を留める人はまだましといえますが。
なにか教育委員会の文教政策的な感じがします。そうなると文学の面白みが減じるのですが、現代ではこうなるのも致し方ないのでしょうね。まったく足を止めようとしない人も多いのですから。別に意識高い系的な上から目線で言うわけではありませんが。
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