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2022年11月12日 (土)

短説「娘が三十、そして三十一に」


 娘が三十、そして三十一に
 

            
西山 正義

 きょうは令和三年十一月十二日、娘の誕生
日である。ついに三十歳になった。自分の子
供が三十になるなんて、かつて想像できたで
あろうか。
 平日の金曜日であるが、仕事明けの日なの
で十時半に起き、娘の郵便貯金口座に祝い金
を預け入れるため出かけた。たまたま母も出
てきたので、母を少し長めの散歩に連れ出す
ために、銀行と郵便局に寄ってから、駅前の
ファミリーレストランでランチをした。母か
らすれば、息子が五十八になるなんて信じら
れないだろう。ここ一、二年で急激に老いた。
眼を覆いたくなるほどだ。孫が三十になるの
だから、それはそうだろうが……。
 と、わずかそこまでしか書けず、この「娘
が三十に」の稿が書き上がらないうちに、娘
はきょう三十一になってしまった。あっと言
う間に一年が経ってしまったわけだ。
 令和元年の暮れから始めた娘の結婚生活は、
東京多摩地区の実家近くに一軒家を借りて、
猫も二匹引き取り順風にスタートしたかに見
えたが、さにあらず、その後旦那が借金を作
ったり、三年間で三箇所目になる職場を辞め
るとか辞めないとか、生活上の揉め事(これ
はまあどの夫婦にも多かれ少なかれあるもの
だが)や精神的なことなど、とかく波乱含み
である。きょう娘の誕生日は土曜日で、夫婦
でどう過ごしているのだろうか。
 二十七歳の息子は、高校の同級生と結婚し
京都の山科に住んでいるが、伴侶が古典文学
を研究しているからで、きょうも「毘沙門堂
門跡に来ました」と紅葉に彩られた本堂の写
真を家族のグループLINEに送ってきた。もち
ろん夫婦仲良く行ったのだろう。それでもあ
した、娘は最近再び始めた琴の演奏会に出る
らしい。母も健在。妻とは仲良く。

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