短説「令和四年=僕のシニア元年」
令和四年=僕のシニア元年 西山 正義 ・ 令和四年の冬至である。今年は二十二日木 曜日。夜八時になって、あわてて柚子を買い に行った。今、風呂の湯を落している。その あいだにこれを書いている。浴槽を洗ってき た。新しい湯を沸かしている。 女房殿は銀座に歌舞伎を観に行っている。 市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名 披露公演である。 キーボードの横で柚子が香っている。高知 県産の食用で、一玉税抜き一五八円也。風呂 に入れるには勿体ない。氏神様の神社に行け ば、ごろごろ転がっているのを思い出した。 世話人の一人として、新年の御神札一式を授 かりに行かなければならないのだった。 風呂が沸いたようだ。女房も帰ってきた。 ――そして、上皇陛下八十九歳のお誕生日 を経て、土曜日のクリスマスイブである。氏 神様に行ってきた。樹齢四百年を超えている という御神木の藤が有名な神社なのだが、境 内の片隅に柚子の木があり、やはり実がいっ ぱい落ちていた。六つほど分けてもらった。 この柚子を風呂に入れるべきであった。 新型コロナウイルスの感染拡大も三年目に 入った西暦二〇二二年は、世界的に見れば、 ロシアによるウクライナへの軍事侵略の一年 だった。今年の漢字には「戦」が選ばれた。 つい最近ではサッカーのワールドカップでの 日本代表チームの活躍で盛り上がった。 僕にとっては、今年は「シニア」がキーワ ードであった。ソフトボールを始めてもう二 十二年になるが、満五十九歳になり、シニア 大会に出場できるようになったのだ。この年 齢で「最年少」とは恐れ入ったカテゴリーだ が、そのタイミングでチームも移籍し、心機 一転、新たな展開を見せ始めた。年が明けれ ば、本格的に六十代に突入するのだ。 |
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