短説「令和六年が明けて」
令和六年が明けて 西山 正義 ・ 西暦でいえば二〇二四年。二十一世紀も十 二支がふた回りしたわけだ。と、その元日、 能登半島で大きな地震が起こった。ビルや家 屋の倒壊に火災、そして東日本大震災の記憶 がまだ消えない大津波が襲った。 二日には、羽田空港の滑走路で、その大地 震の救援物資を運ぼうとしていた海上保安庁 の航空機と札幌からの日本航空機が衝突し、 炎上した。海保機は跡形もないほど。しかし 日航機の乗客乗員三七九人は全員脱出できた。 ペット二匹は救出できなかったが、状況を鑑 みれば奇跡だという。そして三日、北九州市 小倉北区の飲食店街で大規模な火災が発生。 新年早々の正月三が日、どうした日本、と 言いたくなるが、地震は日本全国どこでも起 こり得るし、時も関係ない。改めて肝に銘じ、 やはりもっと真剣に備えるべきであろう。 能登地震が起こったのは元日の午後四時十 分頃。東京も揺れたらしいが気づかなかった。 初詣の列に並んでいた。以前から気になって いた市谷亀岡八幡宮に初めて詣でた。むかし 自衛隊の例の東部方面総監室があった市ヶ谷 の防衛省のとなりの崖上に鎮座するから、そ の参道はかなり急な階段になっている。ちょ うどそこに立っていた時間に地震があったの だから、感じそうなものなのだが……。 息子夫婦が大晦日に鬼怒川温泉に泊まり、 元日に宅に来た。娘も合流した。お雑煮とお せちを食し、ウルトラマンのイベントに行く 娘を水道橋の東京ドームに送り、少し戻って 市谷亀岡八幡宮に。ここはペットと参詣でき ることで有名で、愛犬を連れた参拝客が大勢 いた。息子の嫁は単身京都の自宅に帰るので、 東京駅まで送った。地震で東海道新幹線にも 遅れが出ていたが、無事帰宅。より震源に近 い京都の家の中も無事であった。 |
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